PICマイコン制御用のターゲットボード動作チェック編

PICマイコン・ターゲットボードのチェック


<項目>PICマイコン・ターゲットボードの部品・配線チェック
組立が完了したら、まず一息入れましょう。部品が回路図通りに接続されているか、ハンダ付けの不良はないか目視でチェックします。もし目視でハンダブリッジがありそうなところや、ハンダが付いているのかどうか分かり難いところがあれば、ハンディーテスターなどで導通チェックをします。時間があれば全配線が導通しているかどうかも調べておきましょう。
前ページではICをソケットに差し込んで完成した写真を撮っていますが、電源を投入する前にIC類は壊れやすいので、なるべくなら初めは付けないでおきます。まずハンディーテスタの抵抗測定レンジで電源ラインの抵抗値を測ります。もし数Ω〜数10Ωとか低い値を示したら、明らかにどこかGNDとショートしています。ショート個所を修正してください。
さて、+15V程度の電源を投入したら、LM317Tの出力端子の電圧を測定してみましょう。+13V程度になっているはずです。私のボードでは実測すると、少し低めで+12.8Vでした。この+13VはPICの書込用の電圧になりますので、±0.25Vの範囲、すなわち+12.75V〜13.25Vの範囲に入っている必要があります。LM317Tの出力電圧VOUTは、
VOUT=VREF(1+R2/R1)で計算されます。
ここで、VREF=1.25〜1.30V、R1はOUT端子とADJ端子間の抵抗で、R2はADJ端子とGND間の抵抗です。設計では、R1=120Ω、R2=1.1kΩでしたので、
VOUT=(1.25V〜1.30V)×(1+1100Ω/120Ω)=12.7V〜13.2V
という計算で、若干低めに設定されていましたが、実測電圧は規定の範囲に入っていましたのでこの設計でOKです。
次に、電源レギュレータ7805の出力電圧を測定してみましょう。+5V程度になっているはずです。私のボードでは実測すると、少し低めで+4.98Vでした。この電圧は概ね+5V程度あればよいです。ここでICソケットの+5V電源端子にテスターを当てて、この電圧が出ているかどうかもチェックしておきましょう。一方、電源ランプの発光ダイオードは光っているでしょうか?また、PICのI/Oポートチェック用の発光ダイオードは、この段階ではすべて消灯しているはずです。以上、電源周りのチェックが終わった段階で、ソケットにICを差し込んでください。


<項目>PICライター側の動作チェック(PICWW使用)ここがポイント
次にPICライター側の動作チェックをします。書き込む以前に自作のPICライターが正常に動作しているかどうか調べることができるライターソフトがあります。それが石島さん作のPICWW(PIC Writer for Windows)です。オプションとしてライタボードのテストが実施できるようになっています。PICライターがうまく動かないときに、「ライターが動いていないのか、プログラムがおかしいだけなのかわからない」という悩みを解消する機能となっています。チェック内容は、パラレルポートに指定したデータを出すだけのものですが、とても重宝すると思います。
使い方の詳細は、下記の石島さんのホームページをご覧ください。

http://www.ops.dti.ne.jp/~ishijima/sei/picww/picww_index.htm

2000.8.26のバージョンはVer2.24です。PICWW224.lzhをダウンロードし解凍してください。PICWW.EXEを実行すると下記のような画面が左上に表示されます。

PICWWの左上部分の画面表示
図1. PICWWの左上部分の画面表示

ここで、オプション()の書き込み設定()...を選ぶと、図2のような書き込み設定の画面が現れます。

PICWW 書き込み設定画面
図2. PICWW 書き込み設定画面

ここでは、書き込みWaitの設定と、ご自分のパソコンのパラレル・ポートの設定を選択します。書き込みWaitの設定ですが、計測で示した454という値では、うまく書き込みができませんでした。石島さんにお聞きしたところではPICWWでは、ループでWaitを作っているそうです。そのループ数を決めるのが書き込みWaitです。このあたりの設定は、大きくすればするほど書き込みが遅くなりますが、計測した値よりもWaitを大きくするように設定した方が安定に書き込みができるようです。Waitの設定の目安ですが、私が使用しているクロックスピード450MHzのパソコンでは、Waitを800程度まで大きくすると安定に書き込むことができました。

次に、オプション()のライターのテスト(T)...を選ぶと、ライターにPICが接続されていないことを確認するメッセージが表示され、OKをクリックすると図3のようなライターのテスト画面が表示されます。

PICWW ライターのテスト画面
図3. PICWW ライターのテスト画面

ここで、まずご自分のパソコンのパラレル・ポートを選択します。私の場合は、AT互換機 標準(378H)でした。パソコン側とPICライター(36ピン・コネクタ)とをプリンターケーブルで接続します。設定の初期値は、出力が00Hと表示されており、D0〜D6までの設定はLになっています。すなわち、
Power:OFF[D6...L]
MCLR:VDD(5V)[D3...L,D4...L]
RB6:L(0V)[D5...L,D1...L]
RB7:L(0V)[D2...L,D0...L]
です。PICWWライターのテスト画面表示の下欄に、D7と記載がありますが、このポートはチェック未使用となっています。それでは、順番にPICライター側の動作チェックをしていきましょう。表1にチェックのポイントを記載しておきますので参考にしてください。

表1.PICライターの動作チェック
テスト
番号
設定項目 設定値 チェック内容(表記の電圧は実測値)
パラレルポート
36ピン・コネクタ
備考
Power:OFF D6...L 8番ピン 0.05V このボードでは未使用
Power:ON D6...H 8番ピン 4.63V このボードでは未使用
MCLR:VDD(5V) D3...L 5番ピン 0.05V MCLR端子電圧:4.97V
(PICソケットの1番ピン)
D4...L 6番ピン 0.05V
MCLR:VPP(12.5V) D3...H 5番ピン 4.60V MCLR端子電圧:12.8V
(PICソケットの1番ピン)
D4...L 6番ピン 0.13V
MCLR:GND(0V) D3...L 5番ピン 0.05V MCLR端子電圧:0.01V
(PICソケットの1番ピン)
D4...H 6番ピン 3.25V
MCLR:GND(0V) D3...H 5番ピン 4.61V MCLR端子電圧:0.13V
(PICソケットの1番ピン)
D4...H 6番ピン 3.34V
RB6:L(0V) D5...L 7番ピン 0.05V RB6端子電圧:0.15V
(PICソケットの39番ピン)
D1...L 3番ピン 0.06V
RB6:Z(Open) D5...H 7番ピン 4.62V RB6端子電圧:0.18V
(PICソケットの39番ピン)
D1...L 3番ピン 0.06V
RB6:H(5V) D5...L 7番ピン 0.05V RB6端子電圧:3.63V
(PICソケットの39番ピン)
RB6のLEDが点灯する
D1...H 3番ピン 4.62V
10 RB7:L(0V) D2...L 4番ピン 0.05V RB7端子電圧:0.18V
(PICソケットの40番ピン)
D0...L 2番ピン 0.06V
11 RB7:Z(Open) D2...H 4番ピン 4.63V RB7端子電圧:4.53V
(PICソケットの40番ピン)
RB7のLEDが点灯する
D0...L 2番ピン 0.06V
12 RB7:H(5V) D2...L 4番ピン 4.63V RB7端子電圧:4.53V
(PICソケットの40番ピン)
RB7のLEDが点灯する
D0...H 2番ピン 4.63V

ここで、気が付いた注意点を記載しておきます。
表1のD4(パラレルポート・6番ピン)ですが、H設定で実測すると本来は約4.6Vのはずが約3.3Vになっていました。これはライター部の回路構成をみると、(D4)→(2.2kΩ)→(ダイオード)→(トランジスタのベース)を通してパラレルポートから約1mAもの電流が流れるためです。この電流によりポートの電圧降下が発生しています。ライターと接続しないときのパラレルポートの電圧を直接測定すると約4.6Vでした。この程度の電圧降下ではライターの動作には影響しないようですが、パソコン側のパラレルポートの故障が心配な人は、2.2kΩの抵抗を少し大きくした方がよいかもしれません。
テスト番号9のRB6:H(5V)ですが、RB6の端子電圧を実測すると約3.6Vになります。これは、74LS244の最大出力電圧が約3.6Vであるためです。電源電圧が5Vのとき、一般にLS−TTLのHレベルの最小出力電圧は約3Vですので正常動作といえます。


次へは、PICWWを使ってプログラムの書き込みを行います。


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